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泣く

みおさんは、中学校のとき、学校に行けませんでした。

高校は通信制を選び、少しずつ学校に通えるようになってきました。

友だちができて、通える回数も増えてきました。

初めて、学校で友だちに会うのが楽しいと言ってくれました。

ある日、みおさんは、宿題を持っていくのを忘れてしまいました。

そのことを、担任の先生に注意され、みおさんは泣いてしまいました。

そうしたら、

「これくらいのことで泣いてはいけない。」

と更に注意されました。

みおさんは、

「先生、泣かないようにするにはどうしたらいいんですか?」

と眼に涙をためて、私に聞いてきました。


(小沢)「そのことを友だちは、心配してくれたんじゃない?」

(みおさん)「……、はい。」

(小沢)「心配してくれた先生はいる?」

(みおさん)「一人、女の先生が心配してくれました。」

(小沢)「じゃあ、泣いていていいんじゃないの。泣いたことによって、Aさんの味方がわかったね。味方がもっとわかってくるよ。」


みおさんは、驚いた顔をして、私を見ました。

それから、笑ってくれました。

隣に座っているお母さんも、笑いました。


(小沢)「隣にいる人が、一番の味方だね。」

みおさんは、お母さんを見て、うなずきました。


泣きたいときは、泣けばいい。

そして また歩きだせばいい。


(「“輪”を“和”でつなぐ-島はち診察室100のものがたり-」小沢浩著:クリエイツかもがわ)


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