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手紙

かんいちくんが、私の外来にやってきたのは6年前のことでした。

小学校1年に、勉強などの失敗が許せないため、テストが95点でもだめ。

1つでも×がつくと、極端に落ち込んでしまい、自分の頭を叩いたり、泣いていました。

教室に入れなくなったため、おばあちゃんが上京し、学校に一緒に行って、出られる授業だけおばあちゃんと一緒に受けていました。

文字は全く書かなくなりました。

私は、いつものごとく、マジックを毎回教えました。

マジックに興味を持ってくれたかんいちくんは、全く無言のまま、マジックを行います。

それを、おばあちゃんに見せて、おばあちゃんを喜ばせます。

少しずつ参加できる授業も増えてきたので、私は、おばあちゃんにお腹痛くなった演技をして離れるようにお願いしたり、あの手この手で学校と協力して、少しずつ一人でいられるように工夫しました。

中学校は、情緒の支援級に入りました。

少しずつですが、一人で行く時間が増えてきました。

張り切りすぎて、しばらく行けなくなってしまうこともありましたが、いつの間にかテストで文字を書くようになり、3月に無事卒業しました。

3月の外来では、高校に合格したことなど、私の質問に初めてきちんと答えてくれました。

初めて、かんいちくんの声を聞きました。

6年経って、やっとかんいちくんと会話できました。

それから、おばあちゃんが、私に手紙を見せてくれました。

それは、中学校の担任の先生に書いた手紙でした。


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先生へ

まずは3年間多大な迷惑をおかけしてしまったことを謝りたいと思います。

本当にご迷惑をおかけしました。

そして、迷惑をかける度に優しくしてくださったことを感謝しています。

ありがとうございました。

この度、○○高校に合格することが出来たのは、先生のお陰です。

ほとんど毎日登校することが出来たのも先生のご助力あってこそのことだと思います。

自分はこの学校を卒業しますが、また様々な新1年生が入学してくると思いますので、自分達のように立派に卒業させることを願っています。

最後に、新型コロナウイルスの影響もあり、修学旅行が中止になったのは残念でしたが、それでも沢山の思い出ができ、沢山の事を学ぶことが出来ました。

これからの高校生活にも活かしていきたいと思うので、先生も頑張って勉強を教え続けてください。

最後の最後に、本当にお世話になりました。

これからもお元気でいてください。


かんいちより

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6年間、ずっと外来に来てくれたかんいちくん。

毎回どんなことを考えていたのかな?


(「“輪”を“和”でつなぐ-島はち診察室100のものがたり-」小沢浩著:クリエイツかもがわ)


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